ユキマサくん対処規程も書いた、誓約書も用意した。
あとは申請するだけ……と思ったら、業務委託の先生やインストラクターへの確認手続きってどうやって進めるんだっけ?



業務委託の講師さんには雇用関係がないため、直接業務命令が出せません。犯罪事実確認への協力を「お願い」しても、法的に断られたら終わりです。それを防ぐのが契約書への条項追加です。
対処規程・誓約書・研修……DBS認定の準備リストをひとつひとつこなしてきた事業者が、最後に見落としがちな盲点が「業務委託契約書」。
この記事では、DBS認定を取るなら業務委託契約書の整備も必須である理由と業務委託契約書に最低限追加すべき条項の概要を解説します。
今回は学習塾・教室・スクール・スポーツクラブなどを運営する民間事業者向けに、日本版DBS(こども性暴力防止法)の認定申請の際、業務委託契約書で整備すべきポイントを解説します。
日本版DBSの認定を検討している民間教育・スポーツ・保育系事業者で、業務委託で教師・講師・インストラクターと契約している事業者。
なぜ業務委託契約書がDBS認定に関係するのか
こども性暴力防止法施行ガイドラインは、業務委託講師への対応について次のように明記しています。
「個人業務受託者については、業務委託に係る契約に『犯罪事実確認(戸籍等の提出を含む)及び研修受講に応じなければならない』旨を定めるとともに、当該義務違反を契約解除事由として定めた上で、当該契約に基づき直接説明等を行う必要がある」
つまりガイドラインは「契約書に書いてあることが前提」で制度を設計しています。
契約書に何も書いていない状態では、制度上の対応手段がそもそも存在しないことになります。
契約書を整備しないと何が起きるか 3つのリスク
「長年の付き合いだから大丈夫」と思っていても、契約書に何も書いていなければ、いざというときに動けなくなります。
具体的にどんなリスクがあるか、確認しておきましょう。
| リスク | 具体的な状況 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 確認を拒否されても手が出ない | 業務委託講師が「犯罪事実確認はしたくない」と言った場合 | 契約書に義務がなければ強制できず、そのまま業務を続けさせるしかない |
| ② 申請書類が揃わない | 犯罪事実確認の申請に「業務委託契約書の写し」が必要(ガイドラインp.190) | 書面契約がない=申請書類が提出できない=確認手続きが止まる |
| ③ 問題発生時に業務停止できない | 疑いが生じた講師に「来ないでほしい」と伝えても | 契約書に業務停止条項がなければ、講師側から報酬請求・損害賠償を求められるリスクがある |



うちは長年の付き合いの講師ばかりだから、言えばやってくれると思ってたんだけど……



信頼関係があっても、法的根拠のない要請はいつでも拒否できます。DBS認定後に問題が起きたとき、「口約束で対応していた」では事業者側の責任が問われることになります。
契約書への条項追加は、講師を疑っているのではありません。「法律上の義務に対応するための整備」であることを、講師にきちんと説明することが大切です。
業務委託契約書に追加すべき条項 6項目
ガイドラインの要請と実務上のリスク対策を踏まえると、以下の6項目を契約書に盛り込む必要があります。
| 条項名 | 内容の骨子 | 重要度 |
|---|---|---|
| ①犯罪事実確認への協力義務 | 戸籍情報提出を含む確認手続きに応じる義務を明記 | 必須 |
| ②研修受講義務 | 委託者が指定する安全確保研修への参加義務 | 必須 |
| ③義務違反の契約解除事由 | ①②の拒否=即時契約解除できる旨を規定 | 必須 |
| ④「おそれあり」認定時の契約解除 | 確定判決前でも「おそれあり」と委託者が認めた場合の解除条項 | 必須 |
| ⑤業務停止要請条項 | 疑い発生〜調査完了まで業務を一時停止させる権利と報酬の取り扱い | 強く推奨 |
| ⑥対処規程の遵守義務・5年更新 | 対処規程への服従と、5年ごとの確認更新義務 | 強く推奨 |
①〜④はガイドラインが直接要求している項目です。⑤⑥は実務上のトラブルを防ぐために強く推奨される項目です。



④の「おそれあり」での解除条項って、具体的にどういう場面で使うの?



例えば、保護者からクレームが入った、講師の言動に不審な点があったといった段階です。確定的な証拠がない段階でも、子どもの安全を守るために業務停止や契約解除ができる根拠になります。この条項がないと、確定的な証拠が出るまで動けない状態になってしまいます。
各条項の具体的な条文例については、別記事で詳しく解説しています。まずはこの6項目が自社の契約書に入っているかどうかを確認してみましょう。


既存の契約書がない場合・口頭契約の場合はどうする?



ベテランの先生とは長年の付き合いで、書面の契約書なんてないんですが……



実はこれが一番多いケースです。ガイドラインでは、書面契約がない場合は「両者の署名がある合意書」を代替書面として認めています。今からでも遅くありませんので、まず覚書(合意書)を締結しましょう。
状況によって対応方法が変わりますので、自社がどのケースに当てはまるか確認してみましょう。
| 状況 | 推奨される対応 |
|---|---|
| 書面契約がない(口頭のみ) | 至急、書面の業務委託契約書を締結する。または「DBS対応覚書」で合意内容を書面化する |
| 既存の書面契約書がある | 「覚書(変更合意書)」で追加条項のみ合意する。全文を再締結する必要はない |
| 短期・単発の業務委託 | 「双方が署名した合意がわかる書類」を都度取得する(ガイドラインが認める代替書面) |
| 講師が条項追加を拒否する | 法律上の義務であることを説明する。拒否が続く場合は業務継続が困難になることを契約上担保しておく |
「双方が署名した合意書」で代替できる根拠
「書面の契約書がないと申請できないのでは?」と心配される方も多いのですが、ガイドラインでは次のように定められています。
「該当する書類がない場合又は滅失した場合には、対象業務に従事することに対象事業者と申請従事者の両者が合意したことが分かる書類(両者の署名等があるもの)の提出が必要」
つまり、書類の名称は「業務委託契約書」でなくても構いません。
「この業務に従事することについて、双方が合意した」ことが書面で確認できれば対応できます。実務上は、覚書や確認書といった形式で作成するケースが多いです。



今ある契約書を全部作り直さなくてもいいなら、覚書を追加する方法が一番手軽そうだね。



そうですね。
既存の契約書がある場合は、覚書で追加条項だけ合意すれば対応できます。「法律上の対応として必要になった」という説明をすれば、長年の付き合いのある講師にも理解してもらいやすいですよ。
どのケースでも、書面による合意が残っていることが重要です。口頭での説明だけで済ませると、後から「聞いていない」というトラブルになりやすいので注意しましょう。
対処規程・誓約書との連動 書類は「セット」で機能する
業務委託契約書を整備しても、他の書類と連動していなければ意味がありません。
DBS認定に必要な書類は、以下のようにセットで機能します。
| 書類 | 役割 | 業務委託講師への適用 |
|---|---|---|
| 児童対象性暴力等対処規程 | 事業全体のルールブック | 「従事者」の定義に業務委託講師を含める |
| 業務委託契約書(追加条項) | 指揮命令権がない講師への法的根拠 | 確認・研修・解除・停止の根拠条文 |
| 意向確認書面 | 犯罪事実確認への同意取得 | 業務委託講師にも同様に取得が必要 |
| 誓約書 | 特定性犯罪前科なしの自己申告 | 契約締結時に同時取得するのが効率的 |
| 情報管理規程 | 確認結果の取り扱い・廃棄ルール | 確認結果は30日以内に廃棄義務あり |



契約書だけ直せばいいわけじゃないんだね。
対処規程の方も確認が必要ってこと?



そうなんです。
特に見落としやすいのが対処規程の「従事者」の定義です。
ここに業務委託講師が含まれていないと、契約書を直しても対処規程の対象外になってしまいます。
対処規程の第1条または第2条に「従事者には業務委託契約を締結している講師を含む」またはこれに準ずる文言がなければ、業務委託講師は規程の対象外になります。契約書を見直すと同時に、対処規程側の定義も必ず確認しましょう。
書類はそれぞれが独立して機能するものではなく、互いに補い合う関係にあります。
業務委託契約書(法的根拠)
↕ 連動
児童対象性暴力等対処規程(ルールブック)
↕ 連動
意向確認書面・誓約書(同意・自己申告)
↕ 連動
犯罪事実確認 申請(こども家庭庁システム)
↕ 連動
情報管理規程(確認結果の取り扱い・廃棄)



どれか一つが欠けると、他の書類が整っていても実効性がなくなります。契約書・対処規程・誓約書・情報管理規程がすべて整合して、はじめてDBS認定が機能する体制になります。
業務委託契約書 整備状況チェックリスト
最後に、自社の契約書が整備できているか確認してみましょう。
- 業務委託講師との書面契約書が存在する
- 犯罪事実確認への協力義務(戸籍情報の提出を含む)が明記されている
- 研修受講義務と費用負担が明記されている
- 確認・研修の拒否が契約解除事由として明記されている
- 「おそれあり」認定時の契約解除条項がある
- 疑い発生時の業務停止要請条項(報酬の取り扱いを含む)がある
- 対処規程の遵守義務が明記されている
- 5年ごとの更新確認義務が明記されている
- 対処規程の「従事者」定義に業務委託講師が含まれている
- 契約書の写しをDBS申請の添付書類として保管している
ひとつでも未対応の項目があれば、DBS認定の実効性に穴が開いています。認定を取ること自体よりも、認定後に「機能する体制」を作ることが重要です。
まとめ
今回は、DBS認定を検討している民間事業者向けに、業務委託契約書を整備しておかなければならない理由と、追加すべき条項の概要を解説しました。
- 業務委託講師への唯一の法的根拠が契約書
雇用関係がない以上、DBS対応を求めるには契約書への明記が必須です。口約束では、いつでも拒否されるリスクがあります。 - ガイドラインは「契約書への義務と解除事由の明記」を直接要求している
こども性暴力防止法施行ガイドラインp.206では、業務委託契約書に盛り込むべき内容が明確に示されています。 - 契約書がないと申請書類も提出できない
犯罪事実確認の申請には「業務委託契約書の写し」が必要です。書面契約がなければ、手続き自体が止まります。 - 対処規程・誓約書・意向確認書面とセットで整備して初めて機能する
契約書単体を整えるだけでは不十分です。他の書類と連動して、はじめて実効性のある体制になります。 - 既存の口頭契約は今すぐ覚書で書面化できる
全文を作り直す必要はありません。覚書で追加条項に合意するだけで、すぐに対応できます。
業務委託の講師と長くいい関係を続けるためにも、契約書をしっかり整えておくことが、結果的にお互いの安心につながります。
ぜひ今回のチェックリストを使って、自社の契約書の整備状況を確認してみてください。
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