ユキマサくん純さん、うちの塾でも児童対象性暴力等対処規程を作らないといけないって聞いたんだけど、こども家庭庁にひな型があるんでしょ?
それをそのまま使えばいいんじゃないの?



ユキマサくん、ひな型はあくまで「たたき台」なんです。
そのまま提出しても認定は取れますが、実際の塾の現場で機能しない規程になってしまう可能性があります。



え、どういうこと?
どこを直せばいいの?



学習塾には、個別指導ブースや面談室、自習室など、他の業種にはない「閉鎖的になりやすい場面」が複数あります。
それに合わせて規程の内容を調整しないと、いざというときに動けません。
この記事で順番に解説しますね。
こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定を受けるためには、児童対象性暴力等対処規程の作成と提出が必要です。
こども家庭庁がひな型を公開しているため、「ひな型をコピーして出せば終わり」と思っている方も多いかもしれません。しかし、ひな型は汎用的に作られているため、学習塾の現場特有のリスクには対応しきれていない部分があります。
個別指導ブース・面談室・自習室・夜間の少人数運営など、塾ならではの「閉鎖的になりやすい場面」を踏まえて規程の内容を整えておくことが、規程を「飾り物」にしないための第一歩です。
この記事では、学習塾が児童対象性暴力等対処規程を作成するうえで押さえておきたいポイントを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
- 学習塾で対処規程が必要になる理由
- 学習塾で支配性・継続性・閉鎖性がそろう具体的な場面
- 不適切な行為の定義に追記すべき学習塾特有の文言
- 相談窓口を「機能させる」ための設計ポイント
- アルバイト・業務委託講師への対応方法
- ひな型をそのまま使うと足りない箇所
- 学習塾向けチェックリスト


学習塾で対処規程が必要になる理由



そもそも、なんで学習塾に対処規程が必要なの?
塾って勉強を教えるだけの場所でしょ。



実は、学習塾は性暴力が起こりやすい条件がそろいやすい環境なんです。
「勉強を教える場所だから大丈夫」という思い込みが、対応が遅れる原因になることがあります。
対処規程とは何か
児童対象性暴力等対処規程とは、こども性暴力防止法(日本版DBS)第20条に基づき、性暴力を未然に防ぐための措置と、万が一疑いが生じたときに迅速かつ適切に対応するための手順を定めた規程です。
認定申請の際にこども家庭庁へ提出する必要があり、こども家庭庁がひな型(別紙1)を公開しています。


規程に定める内容は、大きく次の4つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 定義 | 「児童対象性暴力等」と「不適切な行為」の範囲を明確にする |
| ② 実施体制 | 報告ルートと対応責任者を定め、従事者・保護者・こどもへの周知方法を決める |
| ③ 防止措置 | 性暴力のおそれがある場合に講じる対応(接触回避・業務外し等)を定める |
| ④ 調査・保護・支援 | 疑いが生じた際の事実確認の手順と、被害を受けたこどもへの支援策を定める |
学習塾が抱えるリスクの特徴
学習塾は「勉強を教える場所」という印象が強いため、性暴力リスクが意識されにくい傾向があります。しかし、塾の現場には次のような特有のリスクがあります。
学習塾では、講師とこどもが長期間・継続的・閉鎖的な環境で関わり続けるという構造が自然に生まれます。この構造こそが、性暴力リスクが生じやすい条件と一致しています。
こども家庭庁の資料では、性暴力が起こりやすい環境の条件として「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件を挙げています。学習塾の現場は、この3つがそろいやすい環境です。


| 3要件 | 学習塾での状況 |
|---|---|
| 支配性 | 講師はこどもに対して指導・評価する立場にあり、自然と優越的な立場が生まれる |
| 継続性 | 同じ講師が同じ生徒を週単位・年単位で継続して担当する |
| 閉鎖性 | 個別指導ブース・面談室・補習時間など、他の大人の目が届かない場面が生じやすい |
「うちの塾は大丈夫」では済まない理由



でも、うちはちゃんとした先生しか雇っていないし、保護者の信頼もある。
それでも規程が必要なの?



信頼できる先生がいることと、万が一のときに組織として対応できる体制があることは、別の話なんです。
規程があることで、「疑いが生じたときに誰がどう動くか」が事前に決まっている状態になります。
それがないと、いざというときに判断が遅れてしまいます。
性暴力や不適切な行為は、「信頼できる人のはずだから」という思い込みが発見を遅らせることがあります。規程を整備する目的は、特定の人を疑うことではありません。
疑いが生じたときに組織として動けるよう、ルールを事前に決めておくことが、規程を作る本質的な意味です。
規程がない状態で疑いが生じた場合、「誰が対応するのか」「こどもをどう守るのか」「講師をどう扱うのか」という判断をゼロから行わなければならなくなります。その混乱がこどもへの二次被害につながるリスクもあります。
次の節では、学習塾の現場で実際に「支配性・継続性・閉鎖性」がそろう場面を具体的に見ていきます。
学習塾で支配性・継続性・閉鎖性がそろう場面



支配性・継続性・閉鎖性って、具体的にどんな場面で当てはまるの?
塾の現場でイメージがわかなくて。



実は、学習塾の日常的な場面にかなり当てはまるんです。
個別指導ブース、面談室、自習室の巡回、授業前後の残留時間など、場面ごとに見ていきましょう。
こども家庭庁のガイドラインでは、支配性・継続性・閉鎖性の3要件についてそれぞれ次のように解釈しています。


| 要件 | ガイドラインの解釈 |
|---|---|
| 支配性 | 指導・コミュニケーション等を通じて優越的立場に立つ機会が想定される場合。成人とこどもという関係上、継続的に接する機会がある場合には原則として支配性があると判断する |
| 継続性 | 日常的・定期的、または不定期でも反復継続が見込まれる場合。短期・長期の従事を問わない |
| 閉鎖性 | 他の職員や保護者等が同席しない状況で児童等と接する機会が生じ得る場合。従事者一人に対して児童等が複数の場合も含む。SNS・アプリ等を通じたオンラインでの接触も含む |
これを学習塾の現場に当てはめると、次のような場面で3要件がそろいます。
個別指導ブース
個別指導形式の塾では、講師と生徒が仕切られたブース内で1対1または少人数で授業を行います。
| 要件 | 個別指導ブースでの状況 |
|---|---|
| 支配性 | 講師が生徒の学習を評価・指導する立場にある |
| 継続性 | 同じ講師が同じ生徒を週単位・年単位で継続担当する |
| 閉鎖性 | 仕切りや壁で区切られたブース内で、他の大人の目が届きにくい |
個別指導ブースは、学習塾の中でもっとも3要件がそろいやすい場面です。ブースの仕切りが高く、通路から中が見えない構造になっている場合は特に注意が必要です。
面談室
進路相談や保護者面談のために設けられた面談室は、ドアを閉めると完全に外から見えない密室になります。
| 要件 | 面談室での状況 |
|---|---|
| 支配性 | 進路・成績という生徒にとって重要な事柄を講師が握っており、心理的優位性が生まれやすい |
| 継続性 | 同じ生徒が定期的に面談を受ける |
| 閉鎖性 | ドアを閉めると外から様子が見えない完全な密室になる |
自習室の巡回
自習室は複数の生徒がいる場所ですが、巡回する講師が特定の生徒のそばに長時間留まったり、声をかけて別の場所に連れ出したりする場面で閉鎖性が生まれることがあります。
| 要件 | 自習室巡回での状況 |
|---|---|
| 支配性 | 質問対応や添削など、指導の場面で優越的な立場が生まれる |
| 継続性 | 同じ講師が繰り返し巡回し、特定の生徒と継続的に接する |
| 閉鎖性 | 巡回中に生徒と1対1になる場面や、別室に呼び出す場面で閉鎖性が生じる |
授業前後の残留時間
授業の前後、他の生徒が帰った後に特定の生徒だけが教室に残る時間帯は、塾の中で最も閉鎖性が高くなる場面のひとつです。
| 要件 | 残留時間での状況 |
|---|---|
| 支配性 | 補習・質問対応など、個別のやりとりが発生する |
| 継続性 | 補習や個別フォローが習慣化することで継続性が生まれる |
| 閉鎖性 | 他の生徒や同僚が帰った後、講師と生徒が二人きりになりやすい |
「残業中に気になる生徒を残して補習する」という行為は、善意から始まることがほとんどです。しかし、それが習慣化することで「特定の講師が特定の生徒と閉鎖的な環境で過ごす時間」が積み重なっていきます。善意の行動も、規程でルール化しておくことが必要です。
夜間の少人数運営
夜間の時間帯は在塾する生徒・講師の数が少なくなり、塾全体が見通しにくい状態になります。
| 要件 | 夜間運営での状況 |
|---|---|
| 支配性 | 夜間は保護者の目が届きにくく、講師への依存度が高まりやすい |
| 継続性 | 受験期など、夜間授業が長期間にわたって続く |
| 閉鎖性 | 在塾人数が少なく、他の大人の目が行き届きにくくなる |
SNS・アプリを通じた連絡
こども家庭庁のガイドラインでは、SNSやコミュニケーションアプリ、学習ツール等を通じたオンラインでの接触も「閉鎖性」に含まれるとされています(録画配信など双方向のやりとりが生じないものを除く)。
学習塾では、宿題の確認や質問対応のためにアプリやSNSを使って生徒と連絡を取ることがあります。これも閉鎖的な接触に該当します。
「授業の質問をLINEで受け付けている」「個人のスマートフォンで生徒に連絡している」という運用は、閉鎖性の観点から問題が生じやすい場面です。連絡手段を塾が管理するツールに限定し、私的なやりとりを禁止するルールを規程に明記しておく必要があります。



自習室の巡回やSNS連絡まで閉鎖性に当たるとは思わなかった。
普段の授業の流れの中にリスクがあるんだね。



そうなんです。
特別なことではなく、日常の業務の中にリスクが潜んでいます。
次の節では、こうした場面を踏まえて「不適切な行為」の定義にどんな文言を追記すべきかを解説します。
不適切な行為の定義に追記すべき文言例



ひな型の第2条に「不適切な行為」の定義があるけど、あれって学習塾でそのまま使えるの?



ひな型の定義はとても汎用的に書かれているので、学習塾の現場で実際に起こりやすい行為がカバーできていない部分があります。
塾の実態に合わせて追記しておく必要がありますよ。
こども家庭庁のガイドラインでは、「不適切な行為」の内容は事業者の事業内容・こどもの発達段階や特性・現場の状況等によって変わり得るものであり、全事業者に一律に適用されるものではないと明示されています。
つまり、ひな型の定義はあくまでたたき台であり、自塾の実態に合わせて内容を調整・追記することが求められています。
ひな型に含まれている定義(確認用)


まず、ひな型(別紙1)の第2条に既に含まれている「不適切な行為」の定義を確認しておきましょう。
- 児童等と私的な連絡先(SNSアカウント、オンラインゲームのアカウント、メールアドレス等)を交換し、私的なやり取りを行うこと
- 休日や放課後に、児童等と二人きりで私的に会うこと
これらは最低限の定義です。学習塾では、以下の場面で起こりやすい行為を追記しておくことが重要です。
学習塾で追記すべき文言例
① 個別指導・補習に関する行為
個別指導ブースや補習の場面は、前節で確認したとおり閉鎖性が最も高くなりやすい場面です。次のような文言を追記しておきましょう。
【追記例】
・業務上の必要性がないのに、児童等と個室・個別指導ブース内で二人きりになること
・他の従事者への事前連絡なく、授業時間外に特定の児童等を教室内に残して指導を行うこと
・保護者の承諾なく、授業時間外に個別の補習・面談を行うこと
② 面談・進路相談に関する行為
面談は業務として必要な行為ですが、密室になりやすいという特性があります。「必要な面談」と「不必要に二人きりになる行為」を区別する文言を入れておくことが大切です。
【追記例】
・面談を行う場合に、ドアを完全に閉鎖した状態で児童等と二人きりになること(窓ガラスのない密室での面談)
・進路・成績を理由として、業務上必要な範囲を超えて特定の児童等との面談の機会を設けること
③ 自習室・塾内での行動に関する行為
【追記例】
・自習室の巡回中に、特定の児童等のそばに業務上の必要性がなく長時間滞在すること
・業務上の必要性がなく、特定の児童等を別室に呼び出すこと
④ 連絡・通信に関する行為
ひな型にもSNSの私的なやり取りの禁止が含まれていますが、学習塾では宿題の質問対応や授業連絡など、業務上の連絡を個人のスマートフォンやアプリで行うケースが多くあります。より具体的な文言にしておくと、現場での判断がしやすくなります。
【追記例】
・塾が定めた連絡ツール以外(個人のスマートフォン・SNS・メール等)を使用して、児童等と連絡を取ること
・授業・宿題に関する連絡であっても、塾が定めた方法以外で児童等と個別にやり取りすること
・私物のスマートフォンやカメラで、業務上の必要性がなく児童等の写真・動画を撮影すること
⑤ 特定の生徒への過度な関与に関する行為
塾では、講師が特定の生徒を熱心に指導することは珍しくありません。しかし、業務上の必要性を超えた関与は「不適切な行為」の入口になることがあります。
【追記例】
・業務上の理由なく、特定の児童等を継続して担当しようとすること、または担当から外れることを拒否すること
・特定の児童等に対して、他の生徒と明らかに異なる金品・プレゼントを渡すこと
・業務上の必要性なく、特定の児童等の個人情報(自宅住所・家族構成・交友関係等)を収集すること
追記にあたっての注意点



あれもこれも禁止にすると、先生たちが萎縮して動きにくくなりそうだけど、大丈夫?



その点は重要なポイントです。
こども家庭庁のガイドラインでも「従事者が過度に委縮することがないよう留意しつつ」定めることが求められています。
禁止行為を列挙するだけでなく、「こういう場合はOK・こういう場合はNG」という判断基準を現場に伝えることがセットで必要です。
「不適切な行為」を定める際は、禁止行為の羅列だけでなく、業務上必要な行為との線引きも規程の中に明記しておくことが重要です。例えば「保護者の事前承諾がある場合は個別面談を行うことができる」「塾が定めた連絡システム内でのやり取りは業務連絡として認める」といった形です。
また、定めた「不適切な行為」の内容は、従事者だけでなく保護者・こどもにも周知することが求められます。規程を作成したら「作って終わり」ではなく、現場への説明と共有まで行いましょう。
追記例をもとに、ひな型の第2条を実際にどう書き換えるかについては、以下の記事で条文ごとに詳しく解説しています。


相談窓口の設計



相談窓口って、代表者が窓口担当になればいいんじゃないの?
小さい塾だから、それしか選択肢がない気がするけど。



実は、それが学習塾でもっとも多い「窓口が機能しない」パターンなんです。
代表者が窓口になると、加害が疑われた場合にこどもや保護者が相談できなくなってしまいます。
相談窓口に求められる役割
対処規程には、こどもや保護者が性暴力・不適切な行為について相談できる窓口を設けることが求められています。
相談窓口に求められるのは、次の2つの機能です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 受け付ける | こどもや保護者が相談しやすい状態にある。相談内容を受け止め、初期対応を行う |
| つなぐ | 内容に応じて、責任者・外部機関・警察等に適切にエスカレーションできる |
この2つの機能を実際に果たせる体制になっているかどうかが、相談窓口の設計で問われるポイントです。
「代表者1名が窓口」では機能しないケース
相談窓口の担当者が加害が疑われる人物本人、またはその人物と近しい立場(上司・同僚・知人)である場合、こどもや保護者はその窓口に相談することができません。窓口として形だけ存在していても、実際には機能しない状態になります。
学習塾では、次のような場面で「窓口が機能しない」状況が生まれやすくなります。
- 加害が疑われるのが代表者本人で、相談窓口も代表者に設定されている
- 加害が疑われるのがベテラン講師で、窓口担当者がその講師の後輩・知人である
- 小規模な塾で全員が顔見知りのため、誰に相談しても情報が当事者に伝わってしまう
こうした状況では、被害を受けたこどもが「誰にも相談できない」という事態が起こります。
学習塾が取れる3つの対応策



じゃあ、小規模な塾はどうすればいいの?
人数が少ないのに複数の窓口担当なんて置けないよ。



人数が少ない塾でも取れる方法はありますよ。
大切なのは、塾の内部だけで完結させようとしないことです。
① 利害関係のない複数名を窓口担当にする
塾内に複数の担当者を置く場合は、加害が疑われる人物とは利害関係のない人物を担当者に選ぶことが重要です。
例えば、「講師が疑われた場合の窓口は事務担当者」「代表者が疑われた場合の窓口は別の責任者」といった形で、担当者の組み合わせをあらかじめ規程に定めておく方法があります。
② 外部の相談窓口を設置・案内する
小規模な塾では、塾内だけで中立的な窓口を確保することが難しい場合があります。その場合は、外部の専門家や機関を窓口として活用することが現実的です。弁護士・行政書士との顧問契約で外部窓口を設置したり、都道府県の相談窓口や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを案内先として規程に明記したりする方法があります。
③ こども家庭庁のコールセンターを案内する
こども家庭庁は、制度に関する問い合わせや相談を受け付けるコールセンターを設置しています。保護者やこどもが直接相談できる窓口として、規程や掲示物に案内先を記載しておくことも有効です。
「相談したことで不利益を受けない」という保護規定を規程に明記しておくことは特に重要です。この記載がないと、こどもや保護者が「相談したら何か不都合が起きるのではないか」と感じて、相談を控えてしまう可能性があります。
規程への具体的な記載方法や、代表者が加害者になった場合の対応フローの書き方については、以下の記事で条文ごとに詳しく解説しています。


保護者・こどもへの周知も必要
相談窓口の存在は、規程に記載するだけでなく、こどもや保護者に実際に伝わっている状態にしておく必要があります。
周知の方法として、次のような手段が考えられます。
- 入塾時の説明資料・保護者向け案内に相談窓口の連絡先を記載する
- 教室内に相談窓口の案内を掲示する
- 年度初めの保護者会で制度と相談窓口を説明する
保護者・こどもへの周知も必要
相談窓口の存在は、規程に記載するだけでなく、こどもや保護者に実際に伝わっている状態にしておく必要があります。次のような方法で周知を行いましょう。
- 入塾時の説明資料・保護者向け案内に相談窓口の連絡先を記載する
- 教室内に相談窓口の案内を掲示する
- 年度初めの保護者会で制度と相談窓口を説明する



外部の窓口を活用するという発想はなかったな。
小規模な塾でも、外部と組み合わせれば機能する体制が作れるんだね。



そうです。
「誰も使えない窓口」では意味がありません。
こどもや保護者がいざというときに本当に頼れる体制にしておくことが大切です。
次の節では、アルバイト・業務委託など外部スタッフへの対応を解説します。
アルバイト・業務委託など外部スタッフへの対応



対処規程って、正社員の先生だけが対象じゃないの?
うちはほとんど業務委託の非常勤講師なんだけど。



雇用形態は関係ありません。
業務委託・アルバイト・派遣・ボランティアを問わず、こどもに接する業務に継続的に従事する人は全員、対処規程の対象です。
これが学習塾で見落とされやすい点のひとつです。
対処規程の対象になるスタッフの範囲
こども性暴力防止法では、雇用形態・契約形態・報酬の有無を問わず、こどもに接する業務に継続的に従事する人は犯罪事実確認や研修受講の対象となります。
学習塾で対象になる主なスタッフは次のとおりです。
| スタッフの種別 | 対象になるか | 注意点 |
|---|---|---|
| 正社員・契約社員の講師 | ✅ 対象 | 就業規則に根拠規定が必要 |
| アルバイト・パートの講師 | ✅ 対象 | 短期・長期を問わず、継続性があれば対象 |
| 業務委託の非常勤講師 | ✅ 対象 | 業務委託契約書に対応条項が必要 |
| 派遣会社から来ている講師 | ✅ 対象 | 派遣元・派遣先のどちらが確認を行うか整理が必要 |
| 単発・ゲスト講師 | ⚠️ 要判断 | 継続性がない場合は対象外となり得る。支配性・継続性・閉鎖性の3要件で判断する |
| 事務スタッフ | ⚠️ 要判断 | こどもと接する業務を行う場面があるかどうかで判断する |
「社員じゃないから対象外」という判断は誤りです。学習塾の現場では業務委託や非常勤講師が主力を担っているケースが多く、この層を対象外にしてしまうと規程が形骸化してしまいます。
雇用形態によって「周知の方法」が異なる
対処規程の内容は、全ての対象スタッフに周知することが求められています。ただし、雇用形態によって周知の手段が異なります。
| スタッフの種別 | 周知の手段 |
|---|---|
| 正社員・アルバイト(直接雇用) | 就業規則への盛り込みと周知。入社・更新時の説明 |
| 業務委託の講師 | 業務委託契約書への記載。契約締結時の説明と受領確認書の取得 |
| 派遣スタッフ | 派遣元との連携。派遣契約書に周知義務を明記する |
口頭での説明だけでは「周知した」という証拠が残りません。次のいずれかの方法で、周知したことを書面として残しておきましょう。
- 対処規程を手渡し、受領のサインをもらう
- 業務委託契約書に「規程の内容を受け取り、理解した」旨の確認条項を入れる
- メール等で規程を送付し、受信・確認の記録を残す
業務委託講師への対応で特に気をつけること



業務委託の先生には就業規則が使えないんだよね。
じゃあ、規程の内容をどうやって守ってもらうの?



業務委託の場合は、就業規則ではなく業務委託契約書で対応します。
契約書に「犯罪事実確認への協力義務」「対処規程の遵守義務」「違反した場合の契約解除事由」を明記しておくことが必要です。
業務委託講師は雇用契約ではないため、就業規則の適用対象外です。規程の内容を守ってもらうための根拠は、すべて業務委託契約書の中に盛り込む必要があります。
既存の業務委託契約書にこれらの条項が入っていない場合は、認定申請前に改訂しておく必要があります。また、業務委託契約書における「懲戒処分」という表現は法的に不正確です。業務委託者への対応は「業務の外し」または「契約解除」として記載します。
業務委託契約書に追記すべき具体的な条項と、ひな型の第4条(防止措置)をどう書き換えるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。





そうなんです。
規程・契約書・就業規則はセットで整備することが大切です。
学習塾向けチェックリスト



記事を読んで色々やることがわかってきたけど、結局うちの塾は何が足りてないのか、自分でチェックできる方法ってある?



この記事で解説してきた内容をもとに、塾の現場で確認すべきポイントをチェックリストにまとめました。
「規程の中身」だけでなく「現場の運用」まで含めて確認してみてください。
規程を作成・提出したあとも、現場で実際に機能しているかどうかを定期的に確認することが大切です。以下の項目を使って、自塾の現状を点検してみてください。
【規程の内容】確認チェック
- 「不適切な行為」の定義に、個別指導ブース・面談室・自習室・SNS連絡など学習塾特有の場面が含まれているか
- 「不適切な行為」の禁止事項と、業務上OKな行為の線引きが規程に明記されているか
- 相談窓口の担当者が、加害が疑われた場合でも機能する体制になっているか(代表者が加害者になった場合の代替窓口があるか)
- 外部相談窓口(専門家・公的機関等)の連絡先が規程に明記されているか
- 「相談したことで不利益を受けない」旨の保護規定が規程に含まれているか
- 業務委託講師への対応が「業務の外し・契約解除」として規程に明記されているか(「懲戒処分」という表現を使っていないか)
【スタッフへの周知・対応】確認チェック
- 正社員・アルバイトを含む直接雇用スタッフ全員に対処規程の内容を周知し、書面で記録が残っているか
- 業務委託講師に対処規程を手渡し、受領確認を取っているか
- 業務委託契約書に「犯罪事実確認への協力義務」「規程の遵守義務」「違反した場合の契約解除事由」が記載されているか
- 新しく入った講師(雇用形態を問わず)に対しても、入塾・契約時に対処規程の説明を行っているか
- 単発・ゲスト講師など継続性が不明なスタッフについて、支配性・継続性・閉鎖性の3要件で対象かどうかを判断しているか
【保護者・こどもへの周知】確認チェック
- 相談窓口の連絡先を入塾時の説明資料や保護者向け案内に記載しているか
- 教室内に相談窓口の案内を掲示しているか
- こどもや保護者が相談しやすいように、外部機関の相談先も案内しているか
【現場の運用ルール】確認チェック
- 授業時間外に特定の生徒を教室に残す場合のルール(事前連絡・保護者承諾等)が決まっているか
- 面談を行う際のルール(ドアの扱い・同席者の有無・記録の残し方等)が決まっているか
- 講師がこどもと連絡を取る際のツール・方法が塾として統一されており、個人のSNS等の使用が禁止されているか
- 定期的なアンケートや面談等、こどもが異変を申し出やすい仕組みが設けられているか
規程は「作って提出する書類」ではなく、「現場で毎日使うルール」です。チェックリストで確認してみると、「規程には書いてあるけど現場に伝わっていない」という項目が出てくることがあります。そうした箇所が、見直しのスタート地点になります。
まとめ



ひな型をそのまま出せばいいと思ってたけど、学習塾には学習塾なりの論点があるんだね。
改めて整理すると、何が一番大事なの?



一番大事なのは「規程が現場で実際に機能するかどうか」です。
提出できる書類を作ることがゴールではなく、疑いが生じたときに組織として動ける状態にしておくことが本来の目的です。
学習塾が児童対象性暴力等対処規程を作成するうえで押さえておきたいポイントを、この記事では5つの視点から解説しました。
この記事の重要ポイント
- 学習塾は個別指導ブース・面談室・自習室・夜間運営・SNS連絡など、閉鎖性が生まれやすい場面が多い。こうした塾特有のリスクに対応した規程にする必要がある
- 「不適切な行為」の定義はひな型の2項目だけでは不十分。塾の現場で起こりやすい行為を場面ごとに追記し、業務上OKな行為との線引きも明記する
- 相談窓口は「誰でも使える状態」にすることが大切。代表者1名だけでは機能しないケースがあるため、外部窓口の設置や代替ルートの確保が必要
- 業務委託・アルバイトを含む全ての対象スタッフへの周知が必要。雇用形態によって周知の方法が異なり、業務委託には契約書での対応が求められる
- 規程は「提出して終わり」ではなく、現場の運用とセットで初めて機能する。連絡ツールのルール化・面談時のルール・定期的な周知更新まで含めて整備する



規程の作成と業務委託契約書の見直しを両方やるのは、自分だけだとちょっと心もとないな。



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当サポートセンターがお役に立てること
- 2つの規程の作成支援:ひな型をベースに、あなたの塾の実態に合った規程を作成します
- 認定申請の代行:民間事業者としてこまもろうマークの取得を代行申請します
- スタッフ研修の企画・実施:当センターの代表が直接現地にて研修を実施します
- 業務委託契約書の対応:外部講師との業務委託契約書をDBSに対応したものに修正します
- 認定後の継続サポート:定期報告や変更届など、認定後の手続きもサポートします



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教育施設:学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、音楽教室、英語教室、プログラミング教室、野球教室、サッカー教室、スイミングスクール、体操教室、武道教室、ボーイスカウト、ガールスカウト、チアリーディング、バレエ教室、ピアノ教室、ギター教室
福祉施設:認可外保育施設、放課後児童クラブ(学童保育)、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、児童養護施設、乳児院、障害児入所施設
その他:こども食堂、キャンプ施設、芸能事務所(こどもが対象のもの)など
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