ユキマサくん純さん、日本版DBS(こども性暴力防止法)の職員・社員研修って、うちみたいな小さい学習塾も義務になるの?



それは事業者の種別によって答えが変わります。
学習塾は「義務」ではなく「任意認定」の対象です。
ただ、任意だからといって関係ないとは言い切れません。
順番に整理しますね。
「日本版DBSの研修が義務になる」という話を聞いて、自分の事業所も対象なのかと気になっている経営者の方は多いと思います。
結論からいうと、研修が法律で義務づけられているのは学校や認可保育所など一部の事業者だけです。学習塾・スポーツクラブ・認可外保育施設などの民間事業者は、こども家庭庁の「認定」を任意で受ける対象であり、認定を受けた場合に研修が必要になります。
ただし、「任意だから後回しでいい」とも言い切れません。認定を受けるかどうかに関わらず、こどもと接する現場で従事者に必要な知識を共有しておくことは、事業者としての責任です。
この記事では、日本版DBSの研修義務が誰に及ぶのかを事業者の種別ごとに整理し、従事者の範囲まで行政書士の視点からわかりやすく解説します。
- 研修が「義務」か「任意」かを決める事業者の種別の違い
- 研修が法律で義務づけられている事業者の具体的な業種
- 任意認定の民間事業者にとって研修がどういう位置づけになるか
- 研修の対象になる従事者の範囲(雇用形態・業務委託を含む)
研修が「義務」か「任意」かは事業者の種別で決まる


こども性暴力防止法では、事業者を大きく2種類に分けています。研修が義務になるかどうかは、自分の事業所がどちらに該当するかで決まります。
| 区分 | 主な対象業種 | 研修の位置づけ |
|---|---|---|
| 義務対象事業者 (学校設置者等) | 学校・認可保育所・認定こども園・児童福祉施設など | 法律で研修の実施が義務づけられている |
| 認定対象事業者(任意) (民間教育保育等事業者) | 学習塾・スポーツクラブ・認可外保育施設・音楽教室・ダンススクールなど | こども家庭庁の認定を受けた場合に研修が必要になる |
認定を受けていない民間事業者には、現時点で研修の法的義務はありません。ただし、認定申請を行う場合は「研修を受講させていること」が認定基準の一つになっているため、認定を取得したい事業者にとって研修は実質的に不可欠です。
「義務」と「任意」の違いを整理すると
「義務」と「任意」という言葉だけで判断すると、民間事業者は何もしなくていいように聞こえますが、実際はそうではありません。両者の違いを整理すると次のようになります。
| 義務対象事業者 | 認定対象事業者(任意) | |
|---|---|---|
| 研修の法的義務 | あり(法第8条) | 認定を受けた場合のみあり |
| 研修をしなかった場合 | 法律違反となり得る | 認定を受けていなければ法的問題は生じない |
| 認定申請との関係 | 関係なし(もともと義務) | 認定申請の基準に研修の実施が含まれる |
| 実務上の推奨 | 必須 | 認定の有無に関わらず推奨される |
次の節から、義務対象事業者と認定対象事業者それぞれについて、具体的な業種と研修の必要性を詳しく説明します。
研修が法律で義務づけられている事業者とは



義務対象って、具体的にどんな施設が入るの?



法律で「学校設置者等」と定められている事業者が義務対象です。
学校・認可保育所・認定こども園・各種児童福祉施設などが該当します。
自分の施設が入っているか、一覧で確認してみてください。
こども性暴力防止法で研修の実施が法律上義務づけられているのは、「学校設置者等」に該当する事業者です。具体的な対象は次のとおりです。


教育関係
- 幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・高等専門学校(学校教育法第1条に規定する学校)
- 専修学校(高等課程)
認定こども園関係
- 幼保連携型認定こども園
- 幼稚園型・保育所型・地方裁量型認定こども園
児童福祉関係
- 児童相談所
- 保育所・乳児院・児童養護施設・児童館・母子生活支援施設・障害児入所施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設
- 指定障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援)
- 乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)
- 家庭的保育事業・小規模保育事業・居宅訪問型保育事業・事業所内保育事業
- 登録一時保護委託者
放課後等デイサービスは義務対象です。一方、指定障害児通所支援事業以外の障害児通所支援事業(民間が運営する児童発達支援事業所・放課後等デイサービス等)は認定対象(任意)に分類されます。同じ「放課後等デイサービス」でも、指定の種別によって義務か任意かが変わる場合があるため、自事業所の指定種別を確認してください。


義務対象事業者が研修をしなかった場合はどうなるか
義務対象事業者が研修を実施しない場合、法律違反となります。
こども家庭庁または所轄庁による監督・指導の対象になるほか、各業法に基づく処分が行われる可能性があります。
義務対象事業者については、「やるかどうか」ではなく「いつ・どのように実施するか」を検討することが出発点です。
任意認定の民間事業者にとって研修はどういう位置づけか





うちの学習塾は「任意」なんだよね。ということは、認定を受けなければ研修はしなくていいってこと?



法的な義務はありません。
ただ、認定を取りたいなら研修は避けられません。
認定申請の基準に「研修を受講させていること」が明確に含まれているからです。
学習塾・スポーツクラブ・音楽教室・認可外保育施設などの民間事業者は、こども家庭庁の「認定」を任意で受けることができます。認定を受けていない状態では、研修の法的義務は生じません。
ただし、認定を申請する場合は話が変わります。認定基準の一つに「対象業務従事者に研修を受講させていること」が含まれており、申請時にはその証明書類の提出が求められます。
認定を受けるメリットと研修の関係


認定を受けると、こども家庭庁が定める「こまもろうマーク(認定事業者マーク)」を広告や名刺・パンフレット・ウェブサイトなどに表示できるようになります。保護者がこどもを預ける施設・教室を選ぶ際の判断材料になるため、認定の取得は事業者にとって信頼性の証明になります。
認定を受けるためには、研修のほかに次の準備が必要です。
- 児童対象性暴力等対処規程の作成
- 情報管理規程の作成
- 対象業務従事者への研修の実施(研修を受講させていることを証する書類の提出)
- 犯罪事実確認を適切に実施する体制の整備
- 早期把握・相談体制の整備
認定申請の時点で「これから研修を実施する予定」では認められません。申請時には、すでに従事者が研修を受講していることを証する書類(研修実施計画書、研修のお知らせ等)を提出する必要があります。認定取得を検討している場合は、早めに研修の段取りを整えておくことが重要です。
民間事業者が認定を取得できる条件


認定を取得できる民間教育事業(学習塾・スポーツクラブ・音楽教室等)には、法律上の要件があります。すべての民間事業者が申請できるわけではありません。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 教授の対象 | こどもを対象に、技芸または知識の教授を行う事業であること |
| ② 修業期間 | 標準的な修業期間が6か月以上であること |
| ③ 指導方法 | 対面による指導を行うものであること |
| ④ 指導場所 | 事業者が用意する場所(こどもの自宅を除く)で指導を行うものであること |
| ⑤ 講師の人数 | 指導を行う者の人数が3名以上であること |
⑤の「3名以上」は、正社員・パート・業務委託の講師を問わず、実際に指導を行う者の合計で判断します。事務専任のスタッフはカウントできません。「代表者+講師1名」の合計2名では要件を満たさないため、注意が必要です。
自事業所がこれらの要件を満たしているかどうかは、事業の内容・実施頻度・講師の人数などによって判断が変わります。不明な場合はこども家庭庁または専門家に確認することをおすすめします。
認定を受けていない民間事業者は研修しなくていいのか



認定を受けない選択をするなら、研修は一切やらなくていいってこと?



法的な義務はありません。
ただ、「法的義務がないからやらなくていい」とは言い切れない理由が2つあります。
理由① 「不適切な行為」の共通認識がなければ現場は守れない
ガイドラインでは、認定の有無に関わらず、「不適切な行為」を定めて従事者に周知し、現場での共通認識を形成することが重要だとされています。
「SNSで私的にやり取りする」「私物スマホでこどもを撮影する」「不必要に密室で二人きりになる」といった行為が不適切であることは、研修で繰り返し伝えなければ現場に定着しません。規程を作って棚に置いておくだけでは、事故は防げません。
理由② 将来的に認定を取得する場合に備えられる
「今は認定を取らないが、将来的には取りたい」と考えている事業者にとって、早めに研修の仕組みを整えておくことは合理的な判断です。認定申請の時点で研修の実績がゼロだと、申請準備に時間がかかります。
また、認定を取得した競合他社が「こまもろうマーク」を掲示するようになれば、保護者の目に見える形で差がつきます。認定取得の検討を先送りにするほど、競合との差は広がっていきます。
認定を受けない場合でも最低限やっておくべきこと
認定を受けない選択をする場合でも、次の対応は早めに整えておくことをおすすめします。
- 自事業所の「不適切な行為」を定め、就業規則や誓約書に反映する
- 採用時に誓約書でルールを確認させる
- こどもと接する業務に就く全員に、禁止行為と報告ルートを周知する
- 疑いが生じたときの相談窓口と対応手順をあらかじめ決めておく
法的義務がないことと、こどもを守る責任がないことはまったく別の話です。こどもと接する事業を行う以上、従事者に必要な知識を共有し、安全な環境を整えることは事業者としての基本的な責任です。
研修の対象になる「従事者」の範囲



研修の対象って、正社員だけ?パートや外部コーチはどうなるの?



雇用形態は関係ありません。こどもと接する業務に就いている人は、パートでも業務委託の講師でも対象になります。
「うちは少人数だから」という理由で免除されるわけではないので、注意してください。
研修の対象になるのは、こどもと接する業務に従事するすべての「対象業務従事者」です。雇用形態・勤務時間・契約の種別を問いません。
| 従事者の種別 | 研修の対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 常勤職員 | 対象 | 原則として標準研修の受講が求められる |
| パート・アルバイト | 対象 | 週数時間の勤務でも、こどもと接する業務であれば対象 |
| ボランティア | 対象 | 無償であっても対象。受講確認と記録が必要 |
| 派遣労働者 | 対象 | 派遣元・派遣先の双方で受講状況の確認が必要 |
| 業務委託の講師・スタッフ | 対象 | 契約書に研修受講の義務を明記し、受講確認・記録を残す |
| 不定期・短期間のスタッフ | 対象 | 標準研修の受講が難しい場合は要点研修での対応が可能 |
「こどもと接する業務」かどうかが判断の基準
研修の対象になるかどうかは、雇用形態ではなく「こどもと接する業務に従事しているかどうか」で判断します。具体的には、支配性・継続性・閉鎖性の3つの観点から業務の性質を見て判断することになります。
たとえば次のような方は、雇用形態や勤務頻度に関わらず研修の対象になります。
- 週1〜2回だけ指導に来る外部の体操・音楽・語学の講師
- イベントや発表会の補助要員として年数回参加するスタッフ
- 給食・清掃の委託業者から派遣されてはいるが、こどもと日常的に接する機会がある従事者
一方、こどもと接する機会がほとんどない事務職員・送迎バスの運転手(こどもの乗降に関わらない場合)・清掃業者などは、対象外になる場合があります。業務の実態に応じて個別に判断が必要です。判断に迷う場合は専門家に相談することをおすすめします。


業務委託の講師が多い事業者は特に注意
スポーツクラブ・音楽教室・ダンススクールなど、指導を業務委託の外部講師に委ねている事業者は注意が必要です。業務委託であっても、こどもと直接接する業務を担っている以上、研修の対象になります。
事業者側がやるべきことは次の2点です。
- 業務委託契約書に「研修の受講を義務づける条項」を盛り込む
- 研修を受講したことを確認し、記録として残す
「外部講師なので自分では管理できない」という理由は通りません。事業者が受講確認の責任を負っています。


まとめ|自分の事業所の研修義務をチェックリストで確認する



結局、うちの事業所はどうすればいいの?整理してほしい。



まず自分の事業所がどの区分に該当するかを確認して、そのうえで次のステップを踏むだけです。チェックリストで確認してみましょう。
STEP1|自分の事業所の区分を確認する
- 学校・認可保育所・認定こども園・児童福祉施設など → 義務対象事業者。研修の実施は法的義務
- 学習塾・スポーツクラブ・音楽教室・認可外保育施設など → 認定対象事業者(任意)。認定を受ける場合は研修が必要
- 上記のいずれにも該当しない → 現時点で法的な研修義務はないが、こどもの安全のために自主的な取り組みが推奨される
STEP2|研修の対象になる従事者を洗い出す
- 常勤職員・パート・アルバイト・ボランティアを含めて全員リストアップできているか
- 業務委託の外部講師・派遣スタッフの受講状況を確認・管理できる体制があるか
- 新規採用のたびに業務前に研修を受けさせる段取りが整っているか
STEP3|研修の方法と記録の体制を決める
- こども家庭庁の標準動画・要点動画を活用する方針を決めているか
- 座学と演習の両方を実施できる内容になっているか
- 実施日・参加者・内容・理解確認の有無を記録として残す仕組みがあるか
認定を取得したい民間事業者は、申請時点で研修の実施が済んでいることが必要です。「これから実施する」では認められません。認定取得を検討している場合は、早めに研修の準備を始めることをおすすめします。
研修の具体的な進め方はこちら
研修の対象者・内容・実施方法・記録の残し方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。





義務か任意かを整理したら、次は研修の中身を固めないといけないね。



そうですね。
区分が分かったら、次のステップは研修の設計です。
規程の作成や認定申請の準備と並行して進めることになりますので、全体の段取りが気になる方はぜひご相談ください。
日本版DBS(こども性暴力防止法)の認定申請や運用はお任せください


こんなお悩みはありませんか?
- 自分の事業所が義務対象か認定対象かの判断が難しい
- 認定を受けるべきかどうかの判断から相談したい
- 児童対象性暴力等対処規程・情報管理規程の作成方法が分からない
- 研修の設計や実施をどう進めればいいか分からない
- 認定申請の手続きを代行してほしい
このようなお悩みをお持ちの施設長・理事長・事務長・事業主の方は、ぜひ当センターにご相談ください。
当サポートセンターがお役に立てること
- 2つの規程の作成支援
ひな型をベースに、事業の実態に合った規程を作成します - 認定申請の代行
民間事業者としてこまもろうマークの取得を代行申請します - スタッフ研修の企画・実施
当センターの代表が直接現地にて研修を実施します - 業務委託契約書の対応
給食・清掃委託等の業務委託契約書をDBSに対応したものに修正します - 認定後の継続サポート
定期報告や変更届など、認定後の手続きもサポートします



貴施設の実情をヒアリングしたうえで、最適なサポートをいたします。
まずはお気軽にご相談ください。
保育・福祉施設:認可外保育施設、認証保育所、企業主導型保育施設、病院内保育所、ベビーシッター事業、放課後児童クラブ(学童)、一時預かり事業、病児保育事業、児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなど
教育施設:学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、音楽教室、英語教室、スイミングスクール、体操教室など
LINEで簡単!全国どこからでも対応いたします
初回だけ、メールまたはLINEでお問い合わせください。詳しいお話は電話でお伺いします。
北海道, 札幌, 青森, 岩手, 秋田, 宮城, 山形, 福島, 東京(東京都23区, 千代田区, 中央区, 港区, 世田谷区, 大田区, 目黒区, 品川区, 渋谷区, 杉並区, 中野区, 練馬区, 新宿区, 江東区, 墨田区, 葛飾区, 江戸川区, 台東区, 文京区, 荒川区, 足立区, 北区, 豊島区, 板橋区), 神奈川, 横浜, 埼玉, 千葉, 茨城, 群馬, 栃木, 愛知, 名古屋, 静岡, 三重, 岐阜, 新潟, 長野, 山梨, 石川, 富山, 福井, 大阪, 京都, 奈良, 兵庫, 神戸, 滋賀, 和歌山, 岡山, 広島, 鳥取, 山口, 島根, 愛媛, 徳島, 高知, 香川, 福岡, 佐賀, 長崎, 大分, 熊本, 宮崎, 鹿児島, 沖縄







