ユキマサくん日本版DBSって、具体的に何をしなきゃいけないの?「犯罪事実確認」って言葉は聞くけど、誰が・何を・いつまでにやればいいのかがよく分からなくて。



施設長さんが一番気になるのはそこですよね。犯罪事実確認は「事業者がこども家庭庁に申請する」ところから始まります。手続きの全体像を順番に整理しましょう。
日本版DBS(こども性暴力防止法)では、こどもと接する業務に従事する職員について、採用前に過去の性犯罪歴を確認することが義務付けられています。この手続きを「犯罪事実確認」といいます。
ただ、「犯罪事実確認」という言葉を聞いても、誰が申請するのか・何を提出するのか・結果はいつ届くのかといった実務上の疑問はなかなか解消されません。制度の説明を読んでも、手続きのイメージがつかみにくいという声をよく聞きます。
この記事では、犯罪事実確認の仕組みと手続きの流れを、施設の管理者目線でわかりやすく整理します。「うちは何をいつまでにやればいいのか」が見えてくるよう、順を追って説明していきます。
なお、特定性犯罪(確認対象となる犯罪の種類)については別記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
- 犯罪事実確認とは何か・誰が何をする手続きなのか?
- 義務対象と認定制の違い・対象職員の範囲
- 申請から証明書交付までの4つのステップ
- 犯罪歴があった場合に事業者がとるべき対応
- 5年ごとの再確認・廃棄義務・情報漏洩時の罰則


そもそも犯罪事実確認とは何か
犯罪事実確認とは、こどもと接する業務に従事する職員について、事業者がこども家庭庁に申請し、過去の特定性犯罪の前科の有無を確認する手続きです。こども性暴力防止法では「特定性犯罪事実該当者であるか否かの確認」と定義されています。
ひとつ重要なのは、この確認を行うのは事業者であるという点です。職員が自分で申請するのではなく、施設・事業所を運営する事業者がこども家庭庁のシステムを通じて申請します。職員本人は申請に必要な書類(戸籍謄本など)を事業者経由でこども家庭庁に提出する役割を担います。


確認の対象となるのは、すべての犯罪ではありません。不同意わいせつ・児童買春・盗撮・痴漢・未成年との淫行など、法律で定められた「特定性犯罪」に限られます。窃盗や暴行といった性犯罪以外の犯罪は、たとえ重大な前科があっても確認の対象にはなりません。
この制度が必要とされた背景


日本版DBSが導入された背景には、教育・保育現場における性暴力被害の深刻さがあります。こども家庭庁の調査では、若年層の4人に1人以上が何らかの性暴力被害を経験しているという実態が明らかになっています。また0〜12歳の強制性交罪認知件数は、2018年比で1.4倍以上に増加しています。
教育・保育の現場は、指導者とこどもの間に非対称な力関係がある「支配性」、継続的に密接な関係を持つ「継続性」、第三者の目が届きにくい「閉鎖性」という3つの特徴を持ちます。この環境が性暴力の温床になりやすいことから、採用前に性犯罪歴を確認する仕組みが必要とされました。
これまでも教員免許の失効確認といった制度はありましたが、すべての性犯罪歴をカバーできていないという課題がありました。犯罪事実確認はこの課題を解決するために設計された制度です。
イギリスのDBS制度との違い


日本版DBSはイギリスの「Disclosure and Barring Service」を参考にしています。イギリスでは子どもに関わる職業で犯罪歴のある人を雇用することが犯罪とされるほど厳格な制度ですが、日本版は独自の設計になっています。認可施設には義務として適用する一方、認可外施設や習い事教室などは国の認定を任意で受ける形にしていること、犯罪歴があっても自動的に排除するのではなく事業者が総合的に判断する仕組みにしていることが主な違いです。
誰が対象になるのか



うちは小さな認可外保育施設なんだけど、義務になるの?それとも任意?



認可外保育施設は「任意で認定を受ける側」です。ただし認定を取得した場合は義務対象と同じように犯罪事実確認が必要になります。まず事業者の区分から確認しましょう。
事業者の区分――義務対象と認定制


こども性暴力防止法では、対象事業者を「学校設置者等(義務対象)」と「民間教育保育等事業者(認定制)」の2種類に分けています。どちらに該当するかによって、犯罪事実確認が義務になるかどうかが変わります。
| 区分 | 主な対象施設・事業 | 犯罪事実確認 |
|---|---|---|
| 義務対象 (学校設置者等) | 幼稚園・小中高等学校・特別支援学校・認定こども園・認可保育所・児童福祉施設・放課後児童クラブなど | 法律上の義務。必ず実施しなければならない |
| 認定制 (民間教育保育等事業者) | 認可外保育施設・学習塾・音楽教室・スポーツクラブ・ダンススクール・ベビーシッター事業など | こども家庭庁の認定を受けた場合のみ義務となる |
認定制の事業者は、認定を受けるかどうかを自分で判断できます。認定を受けた場合は「こまもろうマーク」を広告に表示できるようになり、安全な運営を対外的にアピールする手段になります。一方で認定を受けない場合は犯罪事実確認の義務はありませんが、マークの表示もできません。認定を取るかどうかは、施設の方針や競合との差別化を踏まえた経営判断になります。
対象となる職員の範囲
犯罪事実確認の対象は、こどもと直接接する業務を行うすべての従事者です。正職員・パート・アルバイト・派遣・業務委託・ボランティアといった雇用形態の違いは関係ありません。「うちのパートさんは対象外では?」という思い込みは誤りで、週1日の非常勤講師であっても、こどもと接する業務に携わる以上は確認が必要です。
個人事業主についても同様です。「個人だから」「小規模だから」という理由で対象外になるわけではなく、法律で定められた事業に該当するかどうかが判断基準です。個人で認可保育所を運営している場合や、認定を受けた個人経営の学習塾であれば対象になります。


新規採用者・現職員・定期確認の3つのタイミング
犯罪事実確認は一度やれば終わりではありません。確認が必要なタイミングは3つあります。
まず新規採用者については、業務を開始させる前に確認を完了しておく必要があります。採用内定後・勤務開始前というタイミングで申請します。手続きには数週間かかるため、採用スケジュールに余裕を持たせておくことが重要です。
次に現職員(施行時点で既に働いているスタッフ)については、法施行日から3年以内に全員分の確認を完了しなければなりません。一度に全員分を申請する必要はなく、優先順位をつけながら計画的に進めることができます。
そして確認を行った後も、5年ごとに再確認が必要です。一度確認した職員でも、5年が経過したら改めて申請し直さなければなりません。更新を怠った場合、その職員をこどもと接する業務に従事させることができなくなります。採用担当者は更新時期を管理する仕組みを作っておく必要があります。
| 対象者 | 確認のタイミング | 期限 |
|---|---|---|
| 新規採用者 | 業務開始前 | 勤務開始日までに完了 |
| 現職員 | 施行後に順次実施 | 施行日から3年以内 |
| 継続雇用者 | 確認日から5年経過後 | 5年ごとに再確認 |


確認対象となる犯罪と期間



どんな犯罪が確認の対象になるの?痴漢とか盗撮も含まれるって聞いたけど。



はい、含まれます。刑法上の重大な性犯罪だけでなく、都道府県の条例違反である痴漢・盗撮・未成年との淫行も対象です。また確認できる期間が「刑が消えた後も20年」という点が、多くの方が驚かれるポイントです。


犯罪事実確認の対象となるのは「特定性犯罪」と呼ばれる性犯罪に限られます。不同意わいせつ・不同意性交等・児童買春・児童ポルノ・盗撮といった国の法律による犯罪に加え、都道府県の迷惑防止条例で定める痴漢・盗撮・卑わいな言動、青少年健全育成条例で定める未成年との淫行なども含まれます。一方、窃盗・暴行・詐欺といった性犯罪以外の犯罪は対象外です。また被害者がこどもであるかどうかは問わず、大人への性犯罪であっても確認の対象になります。
特定性犯罪の詳細(各法律の条文・条例の対象範囲・対象外となる犯罪など)は、別記事「日本版DBSの『特定性犯罪』とは?痴漢・盗撮・未成年淫行まで対象になる理由を解説」で詳しく説明しています。あわせてご確認ください。
確認できる期間は刑の消滅より長い


特定性犯罪の確認期間は、刑法上の「刑の消滅」よりも長く設定されています。刑法では実刑の場合、執行終了から10年再び罰金以上の刑に処せられなければ刑の言い渡しの効力が失われます。しかし日本版DBSでは、実刑であれば執行終了から20年間、執行猶予・罰金であれば10年間が確認の対象期間です。
「10年以上前の話だから大丈夫」と本人が言っていても、実刑であれば最大20年間は確認対象として記録が残ります。採用面接での自己申告を信じるだけでは不十分で、こども家庭庁のシステムを通じた確認が必要な理由がここにあります。
| 刑の種類 | 刑法上の消滅期間 | 特定性犯罪の確認期間 |
|---|---|---|
| 実刑(拘禁刑) | 執行終了から10年 | 執行終了から20年 |
| 執行猶予 | 猶予期間経過後10年 | 裁判確定日から10年 |
| 罰金刑 | 執行終了から5年 | 執行終了から10年 |
なお、不起訴処分・無罪判決・逮捕のみで起訴に至らなかった場合は「前科」にあたらないため、確認の対象外です。ただし「対象外だから採用して問題ない」とは必ずしも言えず、施設として別途どう対応するかを判断する必要があります。この点については別記事で詳しく解説しています。
具体的な計算例
確認期間のイメージをつかむために、具体例で確認しておきましょう。
たとえば2020年に実刑3年の判決が確定し、2023年に刑の執行が終わった場合、確認対象期間は執行終了から20年後の2043年まで続きます。刑法上の刑の消滅(2033年)より10年長く確認対象として残ることになります。
執行猶予の場合は起算点が異なります。2020年に執行猶予3年の判決が確定した場合、確認対象期間は猶予期間が終わった2023年からではなく、裁判確定日の2020年から10年後の2030年までです。猶予期間と確認期間が重なって進むため、実質的には猶予が明けてから数年しか確認期間が残らないケースもあります。
手続きの具体的な流れ





実際の手続きって、どんな順番で進むの?申請してからどのくらいで結果が出るの?



申請から証明書交付まで、大きく4つのステップがあります。全体で数週間から1か月程度かかるので、採用スケジュールには余裕が必要です。順番に説明しますね。
犯罪事実確認は、事業者の申請・職員本人の書類提出・こども家庭庁と法務省による照合・証明書の交付という4つのステップで進みます。複数の機関が関わる手続きですが、基本的な流れを理解しておけば準備すべきことが明確になります。
| ステップ | 実施主体 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Step1 | 事業者 | こども家庭庁のシステムへの申請 |
| Step2 | 職員本人 | 戸籍・住民票等の書類提出 |
| Step3 | こども家庭庁・法務省 | 刑事記録との照合 |
| Step4 | こども家庭庁 | 犯罪事実確認書の交付 |
Step1 事業者による申請
手続きの起点は事業者です。こども家庭庁のシステムにアクセスし、確認を行う職員の情報を申請します。申請書には事業者情報(氏名・名称・所在地・代表者名)のほか、職員情報(氏名・住所・生年月日・性別)、勤務先情報、業務内容、従事予定日などを記載します。
派遣職員や業務委託の場合は、派遣元と派遣先、または委託元と委託先が共同で申請を行う必要があります。「うちは派遣会社に任せてあるから関係ない」という認識は誤りで、派遣先である施設も申請の当事者になります。
Step2 職員本人による書類提出
事業者の申請と並行して、職員本人がこども家庭庁に本人特定のための書類を提出します。日本国籍の場合は戸籍の謄本・抄本、外国籍の場合は住民票の写し(国籍等の記載があるもの)などが必要です。
ここで注意が必要なのは、過去に氏名や本籍を変更した履歴もすべて提出する必要がある点です。結婚による改姓、養子縁組による氏名変更、転籍による本籍変更などがある場合は、変更前の情報を含む書類の準備が必要です。書類の収集に時間がかかるケースがあるため、早めに職員本人に案内しておくことが重要です。
Step3 こども家庭庁・法務省による照合
職員本人から提出された書類をもとに、2段階で照合が行われます。まずこども家庭庁が戸籍・住民票等の内容を確認し、氏名・生年月日・本籍(国籍)の変更履歴を整理します。次に法務省が刑事確定訴訟記録のデータベースと照合し、特定性犯罪で拘禁刑・罰金刑が確定した記録がないかを確認します。この照合作業に数週間程度かかります。
Step4 犯罪事実確認書の交付
照合が完了すると、こども家庭庁から事業者に犯罪事実確認書が交付されます。確認書には「特定性犯罪事実該当者であると認められない(犯歴なし)」または「特定性犯罪事実該当者の区分・裁判確定日(犯歴あり)」のいずれかが記載されます。
ただし、犯歴ありの場合はいきなり事業者に証明書が届くわけではありません。事業者への交付前に、必ずまず本人に通知が行われます。通知を受けた本人は2週間以内であれば内容の訂正を請求することができ、また内定辞退や退職を選択することも認められています。この2週間の待機期間が経過するまで、事業者への証明書交付は行われません。
本人が内定辞退や退職を選択した場合、事業者には犯罪事実確認書が交付されません。つまり事業者は「犯歴があったから辞退した」という事実を知ることができない設計になっています。
手続き全体にかかる期間と採用スケジュール
申請から証明書交付まで、全体で数週間から1か月程度かかります。
書類の収集に時間がかかる場合や、本人への事前通知・訂正請求が発生した場合はさらに長くなることがあります。「採用日に間に合えばいい」という感覚で進めると、勤務開始日までに確認が完了しない事態になりかねません。
採用内定を出したタイミングで速やかに申請を開始し、勤務開始日の1か月以上前には手続きを始めておくことをお勧めします。やむを得ない事情で勤務開始前に確認が間に合わない場合は、開始から6か月以内に確認を完了するという例外規定(いとま特例)がありますが、その間はこどもと一対一にならないなどの安全措置が必要です。


犯罪歴があった場合の対応



もし犯歴ありの証明書が届いたら、その職員は即解雇しなきゃいけないの?



即解雇が義務というわけではありません。
法律が求めているのは「性暴力が行われるおそれがあると認めるときに必要な措置を講じること」です。犯歴の内容や経過年数を踏まえて総合的に判断することが求められています。
犯罪事実確認書で犯歴ありの結果が届いた場合、事業者がまず行うのは「この職員によってこどもへの性暴力が行われるおそれがあるかどうか」の判断です。
こども性暴力防止法第6条は、おそれがあると認めるときに必要な措置を講じることを義務付けています。犯歴があるだけで自動的に解雇が必要になるわけではなく、事業者が状況を総合的に判断したうえで対応を決めることが前提です。
総合判断で考慮すべき要素
「おそれがあるかどうか」を判断する際には、犯罪事実確認書に記載された犯歴の内容(罪名・刑の種類・確定日からの経過期間)を中心に、日常業務での観察結果、保護者や相談窓口に寄せられた情報、本人の状況などを組み合わせて考えます。
10年以上前の罰金刑と、数年前の実刑では判断の重みが異なります。犯歴の種類・重さ・経過年数を無視して一律に対応することは、法の趣旨にも労働法にも沿いません。
具体的な対応措置


おそれがあると判断した場合に講じる措置として、まず検討するのが配置転換。
こどもと接しない部署(事務・調理・清掃・設備管理など)への異動によって、リスクを回避しながら雇用を継続できる場合があります。配置転換には、転換先の職務が実際に存在すること・本人がその業務を遂行できること・不当な労働条件の変更にならないことが条件として求められます。
配置転換が難しい場合や、犯歴の内容が重大な場合は、業務の制限(一対一での指導禁止など)や監督の強化、研修受講の義務付けといった措置を組み合わせて対応します。それでも対応が困難と判断した場合には、退職勧奨や解雇の検討に進みます。
| 措置の種類 | 内容 | 主な適用場面 |
|---|---|---|
| 配置転換 | こどもと接しない部署への異動 | 継続雇用が可能な場合 |
| 業務制限 | 一対一での指導禁止・特定業務の除外 | 部分的な制限で対応できる場合 |
| 監督強化 | 上司による定期的な確認・同席 | 注意深い観察が必要な場合 |
| 研修受講 | 性暴力防止研修の受講義務付け | 意識改革が期待できる場合 |
| 雇用の見直し | 退職勧奨・解雇の検討 | 他の措置では対応が困難な場合 |
労働法上の手続きを踏むことが前提
配置転換や解雇を検討する場合、労働関係法令の遵守が必要です。
犯歴があるという事実だけを理由に一方的に解雇した場合、解雇の合理的理由や社会通念上の相当性が認められず、不当解雇として争われるリスクがあります。
就業規則に「特定性犯罪の前科がないことを雇用継続の条件とする」旨をあらかじめ定めておくこと、採用時の誓約書や募集要項に同様の記載をしておくことが、有効な措置を講じるための準備として重要です。
懲戒処分や解雇を検討する場合は、社会保険労務士や弁護士への相談が不可欠です。就業規則に関する業務は社会保険労務士の専門領域になります。当サポートセンターでは、規程整備や認定申請に関するサポートを行っています。
対応の記録を必ず残す
犯歴ありの職員への対応については、どのような要素を考慮してどんな措置を決めたか、本人への説明と本人の反応、措置後の経過観察の内容を記録として残しておくことが重要です。
後日トラブルになった場合や行政の指導を受けた場合に、適切なプロセスを踏んだことを示す資料になります。「判断した」だけでなく「判断の根拠を記録した」ところまでが対応です。
5年ごとの再確認と廃棄義務



一度確認したら終わりじゃないの?5年ごとってどういうこと?



犯罪事実確認書の有効期間は5年です。
継続して雇用している職員も、5年が経過したら改めて申請し直す必要があります。更新を忘れるとその職員をこどもと接する業務に従事させられなくなるので、更新時期の管理が重要です。
犯罪事実確認は「採用時に一度やれば終わり」ではありません。
確認書の有効期間は5年間で、継続して雇用している職員については5年ごとに再確認の手続きが必要です。長く働いているベテランスタッフも例外ではありません。更新手続きを怠った場合、その職員をこどもと接する業務に従事させることができなくなります。
施行後3年以内に現職員全員分の初回確認を終えた後、今度は5年ごとの更新管理が始まります。職員が多い施設では、毎年複数の更新手続きが発生することになります。「誰の確認期限がいつ切れるか」を把握する管理台帳を早めに作っておくことが、現場の混乱を防ぐうえで重要です。


確認書と記録の廃棄義務
犯罪事実確認書は要配慮個人情報にあたるため、いつまでも保管し続けることはできません。法律で定められた廃棄義務があります。
廃棄のタイミングは2つあります。ひとつは職員が離職した場合で、離職日から30日以内に廃棄しなければなりません。もうひとつは確認日から5年が経過した年度末で、その日から30日以内の廃棄が必要です。継続雇用している職員については、5年ごとの更新申請を行ったうえで古い確認書を廃棄し、新しい確認書に差し替えるという流れになります。
廃棄は「捨てればいい」ではなく、復元不可能な方法で確実に廃棄することが求められます。紙の書類はシュレッダーにかけること、電子データは完全消去ツールを使うことなど、情報が復元できない状態にする必要があります。廃棄を怠った場合は罰則の対象になります。
| 廃棄のタイミング | 期限 | 対象 |
|---|---|---|
| 職員が離職した場合 | 離職日から30日以内 | 当該職員の確認書・記録 |
| 確認から5年経過時 | 年度末から30日以内 | 5年前の確認書・記録 |
| 採用に至らなかった場合 | 速やかに | 不採用者の確認書・記録 |
帳簿の作成・保存も義務
確認書そのものの管理とは別に、犯罪事実確認の実施状況を記載した帳簿の作成と保存も事業者に義務付けられています。帳簿には確認実施日・対象者の氏名・確認結果の概要・次回確認予定日などを記載します。確認書を廃棄した後も帳簿は一定期間保存する必要があるため、「確認書を廃棄したから記録もない」という状態は認められません。
帳簿は行政の立入調査の際に提示を求められる書類でもあります。更新時期の管理を兼ねた帳簿を整備しておくことで、確認漏れの防止と行政対応の両方に役立てることができます。
情報管理と罰則



犯罪歴の情報って、施設内でどこまで共有していいの?漏れたらどうなるの?



犯罪事実確認で取り扱う情報は個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたります。
漏洩した場合の罰則は一般的な個人情報漏洩より重く、最大2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。情報管理は制度の運用と同じくらい重要な義務です。
犯罪事実確認書および確認の過程で取得した情報は、要配慮個人情報として厳格に管理しなければなりません。要配慮個人情報とは、不当な差別や偏見を生じさせるおそれがある情報として個人情報保護法が特別に保護を定めた情報です。前科・犯罪歴はその代表例であり、通常の個人情報より厳しい取り扱いが求められます。
情報を扱える人を絞ること
犯罪事実確認書の内容を知ることができるのは、業務上必要な最小限の担当者に限られます。
「施設全体で共有する」「他の職員にも念のため伝える」といった対応は認められません。確認書の保管場所も施錠可能な場所に限定し、電子データの場合はパスワード設定や暗号化を施したうえで、アクセスできる端末・人物を限定する必要があります。
また、取得した犯罪歴の情報は採用・配置に関する判断以外の目的に使用することが禁止されています。「あの人は過去に犯罪歴があった」という情報を他の用途に転用することは、目的外利用として法律違反になります。
漏洩した場合の罰則
こども性暴力防止法は、犯罪事実確認で得た情報の漏洩に対して最大2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則を定めています。これは一般的な個人情報漏洩(個人情報保護法違反)より重い罰則です。こどもの安全に直結する機微な情報として、特に厳しく処罰される設計になっています。
罰則の対象になるのは法人だけでなく、情報を漏洩した個人も対象です。「うっかり話してしまった」では済まない重大な義務として、施設内の担当者全員に周知しておく必要があります。
| 違反の種類 | 罰則 |
|---|---|
| 犯罪歴情報の漏洩 | 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 確認書の廃棄義務違反 | 罰則の対象 |
| 目的外利用・第三者提供 | 罰則の対象 |
漏洩が発生した場合の報告義務
万が一、犯罪事実確認に関する情報の漏洩等の重大事態が発生した場合は、こども家庭庁への報告義務があります。個人情報保護委員会への報告が必要な場合もあります。
漏洩が発覚した際に「どう対応するか」を事前に決めておくことが、被害を最小限にとどめるうえで重要です。
情報管理規程の整備は、犯罪事実確認の義務対象事業者・認定事業者いずれにとっても必須の対応です。「何を・誰が・どこに保管し・いつ廃棄するか」を文書で定めておくことが、法令遵守と万が一の際の備えになります。
よくある質問
現職員の確認はいつまでに終えればいいですか?
法施行日から3年以内に全職員分の確認を完了する必要があります。
一度に全員を申請する必要はなく、こどもとの接触度合いが高い職員から優先的に進めることができます。職員数が多い施設ほど計画的に取り組む必要があるため、早めに申請スケジュールを立てておくことをお勧めします。
犯罪歴があった職員は必ず解雇しなければなりませんか?
必ずしも解雇が必要というわけではありません。
法律が求めているのは「こどもへの性暴力が行われるおそれがあると認めるときに必要な措置を講じること」です。犯歴の内容・経過年数・本人の状況などを総合的に判断したうえで、配置転換・業務制限・監督強化など状況に応じた対応を選択することになります。解雇を検討する場合は労働法上の手続きが必要なため、社会保険労務士や弁護士への相談をお勧めします。
本人が確認を拒否した場合はどうなりますか?
本人が確認を拒否した場合、その職員をこどもと接する業務に従事させることができません。
義務対象事業者では犯罪事実確認が法的義務であるため、拒否した職員については配置転換か、応じない場合は雇用関係の見直しを検討することになります。現職員への導入時には、制度の目的と必要性を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが大切です。
派遣・業務委託のスタッフも確認が必要ですか?
はい、必要です。
こどもと接する業務に従事するのであれば、雇用形態に関わらず確認の対象です。派遣の場合は派遣元と派遣先が共同で申請する必要があります。「派遣会社が対応してくれるはず」と施設側が受け身でいると確認漏れが生じるリスクがあります。派遣会社との契約段階で役割分担を明確にしておくことが重要です。


確認書や記録の保存期間はどれくらいですか?
犯罪事実確認書は、確認日から5年が経過した年度末から30日以内に廃棄しなければなりません。
職員が離職した場合は離職日から30日以内の廃棄が必要です。ただし確認の実施状況を記載した帳簿は別途保存義務があるため、確認書を廃棄した後も帳簿は残しておく必要があります。廃棄は復元不可能な方法で行うことが法律上求められています。
勤務開始前に確認が間に合わない場合はどうすればよいですか?
やむを得ない事情がある場合に限り、勤務開始後6か月以内に確認を完了するという例外規定があります。
ただしその間は「こどもと一対一にしない」「常に他の職員の目が届く環境で業務させる」など、安全確保のための措置が必要です。この例外はあくまで緊急時の対応であり、通常は勤務開始前に確認を終えておくことが原則です。採用スケジュールに余裕を持たせることで、例外規定に頼らずに済む運用を目指しましょう。


まとめ



手続きの全体像がやっと見えてきた。採用前に確認・現職員は3年以内・5年ごとに更新って、結構やることが多いんだね。



そうなんです。犯罪事実確認は「一度やれば終わり」ではなく、継続的な管理が必要な制度です。今のうちから管理の仕組みを作っておくことが、施行後に慌てないための一番の準備になります。
犯罪事実確認は、事業者がこども家庭庁のシステムを通じて職員の特定性犯罪の前科を確認する手続きです。申請から証明書交付まで数週間から1か月程度かかるため、採用スケジュールに余裕を持たせることが重要です。また確認は採用時だけでなく5年ごとの更新が必要で、確認書の廃棄義務・帳簿の保存義務・情報漏洩時の罰則まで含めた継続的な管理体制の整備が求められます。
「制度への対応をどこから始めればいいかわからない」という施設長・事務長の方は、まず自施設が義務対象か認定制かを確認し、現職員の人数と確認のスケジュールを把握するところから始めましょう。施行後に一度に多くの手続きが集中しないよう、今から計画的に準備を進めることが大切です。


この記事の重要ポイント
- 犯罪事実確認は事業者がこども家庭庁に申請する手続き。職員本人は書類を提出する役割
- 義務対象(認可施設等)は法律上の義務。認定制(認可外・学習塾等)は認定を受けた場合のみ義務
- 雇用形態は問わない。パート・派遣・業務委託・ボランティアもこどもと接するなら対象
- 申請から証明書交付まで数週間〜1か月。犯歴ありの場合は本人への事前通知から2週間後に交付される
- 犯歴があっても即解雇が義務ではない。おそれの有無を総合判断し配置転換等の措置を検討する
- 確認書の有効期間は5年。継続雇用する職員は5年ごとに再確認が必要
- 確認書は離職時・5年経過時に廃棄義務あり。情報漏洩には最大2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金



規程の整備や書類の準備、職員への説明…自分たちだけでやり切れるか不安だな。



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- 認定申請後の継続サポート 認定を受けた後も継続的に制度運用をサポートします



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