日本版DBSの認定を受けるデメリットとは?民間事業者が負う5つの義務と罰則を解説

ユキマサくん

純さん、日本版DBSの認定って任意なんだよね?じゃあ受けなくてもいいんじゃないの?

純さん

任意ではあるんですが、一度認定を受けると、学校や認可保育所と同レベルの義務を負うことになります。
「任意だから気軽に受けよう」と考えていると、後でかなり大変な思いをします。

こども性暴力防止法(日本版DBS)では、学習塾・習い事教室・認可外保育施設などの民間事業者は「任意認定制」の対象です。認定を受けるかどうかは、事業者が自由に判断できます。

ただし、認定を受けた後は話が変わります。認可保育所や学校と同等の義務・監督・罰則の対象となり、途中で簡単にやめることもできません。

「認定を取るべきかどうか」を判断するには、メリットだけでなく、負担やリスクについても正確に理解しておく必要があります。

この記事では、民間教育保育等事業者が認定を受けることで生じる義務・負担・リスクについて、法律の内容に沿って解説します。

この記事でわかること
  • 「任意」なのに「公的な義務を負う」とはどういう意味か
  • 認定を受けた事業者に課される5つの負担の内容
  • 特に注意が必要な犯罪事実確認の期限と情報管理の罰則
  • 認定を検討すべき事業者・慎重になるべき事業者の違い
目次

認定を受けるとはどういうことか

日本版DBSの対象事業者は、大きく2種類に分かれています。

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義務対象事業者任意認定制事業者
主な対象学校・認可保育所・認定こども園・児童福祉施設など学習塾・習い事教室・認可外保育施設・放課後児童クラブなど
犯罪事実確認法律で必須認定を受けた場合のみ必須
選択の自由なし(必ず実施)あり(受けるかどうかを自分で判断)
国の監督対象認定を受けた場合のみ対象
申請手数料不要1事業あたり約3万円(予定)

民間事業者の認定はあくまで「任意」です。ところが、一度認定を受けると、義務対象事業者と同等の措置を実施する体制が確保されていることへの公的な認定を受けることになります。

つまり、「自分で選んだ」という事実はあっても、認定を受けた後は学校や認可保育所と同じレベルの義務・監督・罰則の対象になるということです。

認定を受けた後に「やっぱりやめます」はできない

認定を受けた後で「負担が大きいので認定を返上したい」という選択は、実態としてかなり難しいです。

認定を受けていることを保護者にアピールしている状況で途中返上をすると、「安全対策をやめた」と受け取られかねません。また、廃止の届出を行えばこども家庭庁のウェブサイトで公表されます。

認定を受けるかどうかの判断は、「取ってから考える」ではなく、取る前に義務・負担・リスクを正確に理解した上で行う必要があります。

認定に伴う5つの負担

ユキマサくん

具体的にどんな義務が発生するの?

純さん

大きく5つに整理できます。費用・安全確保措置・国の監督・罰則・情報公開です。
それぞれ内容を確認していきましょう。

負担① 申請費用と継続的な事務負担

認定申請には、1事業あたり約3万円の手数料が必要です。これは事業者単位でも事業所単位でもなく、「事業」単位での手数料です。複数の事業を運営している場合は、それぞれに手数料が発生します。

また、申請時には次の書類を準備する必要があります。

  • 事業内容を説明する資料
  • 認定基準に適合していることを証する資料
  • 児童対象性暴力等対処規程
  • 情報管理規程
  • 犯罪事実確認を適切に実施する旨の誓約書

認定後も、定期報告の作成・提出や、変更が生じた際の届出など、継続的な事務対応が求められます。

負担② 安全確保措置の実施義務

認定を受けた事業者は、次の安全確保措置を継続して実施しなければなりません。

  • 犯罪事実確認
    教育保育等従事者について、特定性犯罪事実に該当するかどうかを確認します(詳しくは次の節で解説します)
  • 早期把握のための措置
    こどもへの日常的な観察、発達段階に応じた定期的な面談・アンケートの実施、疑いを把握した場合の報告ルールの整備が必要です
  • 相談体制の整備
    こどもや保護者が相談できる窓口の設置と周知、外部の相談窓口の周知が必要です
  • 従事者への研修
    座学と演習を組み合わせた研修を、定められた内容で実施する必要があります
  • 情報管理措置 
    罪事実確認記録等を適正に管理するための情報管理規程を定め、遵守することが必要です

これらはいずれも「一度整備すれば終わり」ではなく、継続的に運用し続けることが求められます。

負担③ こども家庭庁による監督

認定事業者はこども家庭庁による監督の対象となります。具体的には次のような対応が求められることがあります。

  • 定期報告
    犯罪事実確認の実施状況や情報管理措置の実施状況について、年1回こども家庭庁に報告する義務があります。帳簿への記録・保存も必要です
  • 報告徴収・立入検査
    こども家庭庁は必要に応じて追加の報告や資料提出を求めたり、事務所・事業所への立入検査を行うことができます
  • 適合命令・是正命令
    認定基準に適合しなくなった場合や、情報管理義務に重大な違反があった場合は、期限を定めた是正命令が出されることがあります

負担④ 違反した場合の罰則

義務に違反した場合、次のような罰則が科される可能性があります。

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違反の内容罰則
帳簿の不備・虚偽記載、立入検査の拒否、報告義務違反など50万円以下の罰金
認定マークの無断使用・紛らわしい表示1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(併科あり)
適合命令・是正命令への違反など認定取消(取消日から2年間は再申請不可)

罰則は事業者だけでなく、実際に違反行為を行った役員・職員個人にも科されることがあります。情報管理は組織全体の問題として取り組む必要があります。

負担⑤ 情報の公表

認定を受けると、事業者名・所在地・代表者名・事業概要などがこども家庭庁のウェブサイトで公表されます。透明性の確保という意味ではメリットですが、個人事業主など小規模な事業者にとっては、個人情報が広く公開されるという側面もあります。

また、義務違反があった場合や認定を取り消された場合も、その事実が公表されます。違反事業者として名前が出ることは、保護者からの信頼を失うだけでなく、事業の継続そのものに影響を及ぼす可能性があります。

特に注意が必要な2つのポイント

ユキマサくん

5つの負担の中で、特に気をつけないといけないのはどれ?

純さん

犯罪事実確認の期限」と「情報管理の罰則」の2つです。
どちらも、知らなかったでは済まない内容なので、しっかり確認しておきましょう。

ポイント① 犯罪事実確認には厳格な期限がある

犯罪事実確認は、従事者の区分ごとに期限が定められています。期限を過ぎると義務違反となり、認定取消の対象になる可能性があります。

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対象者の区分確認の期限備考
新規に従事させる者業務を行わせるまで採用が決まっても、確認が終わるまで業務に就かせることはできません
認定時にすでに働いている者(認定時現職者)認定日から1年以内在職中の全員について、1年以内に確認を完了させる必要があります
確認済みの者確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日まで5年ごとに再確認が必要です
急な欠員の場合(例外)従事開始後3か月以内やむを得ない事情がある場合のみ。確認完了まで特定性犯罪事実該当者とみなして措置を講じることが必要です

犯罪事実確認を行うには、こども家庭庁のシステムを通じた申請が必要で、申請から確認書の交付まで一定の時間がかかります。特に認定直後は在職者全員の確認を1年以内に終わらせる必要があるため、認定取得と同時に計画的に進めることが重要です。

ポイント② 情報管理の違反は認定取消につながる

犯罪事実確認で得られた情報(特定性犯罪の有無など)は、極めて機微な個人情報です。この情報の管理が不適切だと、深刻な結果を招きます。

情報管理に関して法律が禁じているのは、次の2点です。

  • 犯罪事実確認の実施または防止措置以外の目的で情報を利用すること
  • 第三者に情報を提供すること

また、情報の漏えいなどの重大な事態が生じた場合は、直ちにこども家庭庁へ報告する義務があります。漏えいが発生した場合は是正命令の対象となり、命令に従わなければ認定を取り消されます。

情報管理を適切に行うために、認定申請の時点で情報管理規程を定め、アクセス権限の設定・保管場所の施錠管理・電子データの取り扱いルールなどを整備しておくことが必要です。

情報管理規程は認定申請の必須提出書類です。「とりあえず提出できればいい」という考えで形だけ整えても、実際の運用が伴っていなければ義務違反となります。規程の内容を現場の実態に合わせて作成し、職員に周知・遵守させることまでセットで考える必要があります。

認定を検討すべき事業者・慎重になるべき事業者

ユキマサくん

結局、うちの事業所は認定を取った方がいいの?取らない方がいいの?

純さん

事業の規模や体制によって判断が変わります。
「継続して義務を果たせるかどうか」が最も重要な判断基準です。

認定を受けるかどうかは、メリットとデメリットを天秤にかけて判断する必要があります。

次の項目を参考に、自分の事業の実態と照らし合わせてみてください。

認定を積極的に検討したい事業者

次のような状況にある事業者は、認定取得が事業にプラスに働きやすいといえます。

  • 従事者が複数いて、事務処理を担当できる人材がいる
  • すでに安全管理の仕組みがある程度できている
  • 保護者からの信頼や、他の事業者との差別化を重視している
  • 長期的に事業を継続していく予定がある
  • 申請手数料や継続的な事務コストを負担できる財務体制がある

慎重に検討すべき事業者

一方、次のような状況では、まず事業体制を整えることを優先した方がよいかもしれません。

  • 従事者が少なく、事務処理の余力がほとんどない
  • 安全管理の体制がまだほとんど整っていない
  • 申請費用や継続的なコストが経営に大きく影響する
  • 定期報告や立入検査への対応を任せられるスタッフがいない

無理に認定を取得して義務を果たせなくなるよりも、体制が整った段階で申請する方が、結果的に事業を守ることにつながります。

認定を受けるかどうかの判断は、事業の将来に大きく影響します。迷う場合は、行政書士などの専門家に相談しながら判断することをおすすめします。

まとめ

ユキマサくん

「任意」って聞いてたから気軽に考えてたけど、思ったより重い話だったな。

純さん

そうなんです。
「任意だから気軽に取れる」ではなく、「任意だからこそ、取る前にしっかり考える」必要があります。
義務・負担・リスクを正確に把握した上で判断することが、事業を守ることにもつながります。

この記事の重要ポイント

  • 民間事業者の認定は任意だが、一度受けると学校・認可保育所と同レベルの義務・監督・罰則の対象になる
  • 認定に伴う負担は費用・安全確保措置・国の監督・罰則・情報公開の5つ。いずれも継続的な対応が必要
  • 犯罪事実確認には厳格な期限がある。新規従事者は業務開始前、認定時現職者は認定日から1年以内に完了させる必要がある
  • 情報管理の違反は是正命令・認定取消の対象になる。情報管理規程は「提出のため」ではなく、実際に運用できる内容で整備する必要がある
  • 認定を受けるかどうかは、継続して義務を果たせる体制があるかどうかを基準に判断する。迷う場合は専門家への相談がおすすめ
ユキマサくん

認定を取ることだけがゴールじゃなくて、取った後も義務を果たし続けることが大事なんだね。

純さん

まさにその通りです。
認定はスタートライン。体制が整っているかどうか不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。

日本版DBS(こども性暴力防止法)の対応はDBS運用サポートセンターへ

こんなお悩みはありませんか?

  • 認定を受けるべきかどうか、まだ判断できていない
  • 児童対象性暴力等対処規程・情報管理規程をどう作ればいいか分からない
  • 犯罪事実確認の進め方や期限の管理が不安
  • 認定後の定期報告や変更届など、継続的な対応を任せられる人がいない
  • 自分で申請できるように、手順をまとめた資料や動画がほしい

当サポートセンターでは、日本版DBSへの対応に必要な情報・ツール・サポートを提供しています。

当サポートセンターでできること

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純さん

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